神奈川県小田原市で開催された、果樹の剪定(仕立て方)セミナーに参加してきました。小田原市は、梅の産地で有名ですが、その梅林近くの高台が、講義実習の農園。ちょうど、梅の花が満開で、相模湾も見渡せる絶景ポイントです。
今回のセミナー主題は、レモンの剪定。当園にも昨年植え付けたレモンの苗木があるので、その仕立て方の勉強です。
講師は、農業コンサルタントの道法 正徳さん。同氏は、農協連合会の技師として果樹の技術指導に携わってこられましたが、従来の果樹の育成方法に疑問を持たれ、より、植物生理に即した剪定をすることにより、果実の収量、品質が向上するということを見いだされたそうです。
具体的には、立ち枝を伸ばす、水平誘引はしない、短果枝は切る・・・などなど、ちょっと専門的になりましたが、要は従来の果樹の剪定技術とはほぼ真逆の仕立て方です。これにより、前述の収量・品質の向上とともに、無農薬、無肥料での栽培が可能になるそうです。この方式は「DOHO STYLE」と呼ばれています。
じつは、この講師のセミナー昨年秋にも受けていて、もっと知りたい、もっと技術を習得したいと思い、参加しました。
午前中は農場近くの公民館での座学で、なぜ、前述の仕立て方が植物にとって良いのかの説明です。従来の仕立て方とは全く異なり、疑問だらけでしたが、写真や、データを用い、具体的に、論理的に説明いただいたおかげで、非常に納得感のある講義でした。
昼食をとってから、農園に移動。ちょうど、当園と同じぐらいのレモンの木の剪定から始まり、大きく育った木の選定も実施。午前中の講義内容に基づき、植物ホルモンの働きを活発にするための剪定技術をわかりやすく説明いただきました。また、座学や実習中にもいといろと質問ができ、当園の果樹のメインのイチジクについてもいろいろと教えていただきました!
秦野に戻って、早速、当園のレモンの苗木を剪定。併せて、イチジクも思い切って、仕立て方を大きく変更しました!
レモンの苗木の剪定を説明中。獣害よけの竹柵をご覧になって、「みんなに柵のそとから見つめられて、わしゃ、動物園の見せもんになった気分じゃ」などと、終始広島弁の冗談を交えながら、楽しくご指導いただきます。
枝を束ねて、まっすぐに上に伸ばすと植物ホルモンの流れが正常になり、収量・品質が向上するそうです。
かなり年数のたった成木も題材にして、剪定セミナー。目からうろこがポロポロ!
変わって、当園のイチジク。以前、ごあんないしたとおり、これらのイチジクは、T字型の主枝の樹形に仕立てようとして、Y字型の誘引をしてから、T字型へと段階的に主肢を水平誘引する予定でした。
これらの写真は、そのY字型に誘引した状態の絵です。
しかし!今回のセミナーを聞いて180°方針変更!
Y字型をもとに戻すどころか、主肢をまっすぐ上方に伸ばすために、束ねて、垂直にします。かなり奇異な樹形です・・・。
イチジク畑の苗木をすべて、剪定・誘引完了。なんとも異様な光景です。